愛の園児童発達支援センター 児童発達支援センターのコンセプト

保育と療育の連携の現状と課題、
インクルージョンの推進

インクルージョン、インクルーシブ保育という言葉が最近よく聞かれます。「多様性(ダイバーシティ)」という言葉とセットで、ビジネス用語として一般的になりつつあります。さらに「エクイティ(Equity)」(公平性)が加わり、DEIが大切だと言われています。社会の現実が必ずしもそうなっていないからでしょうか。

 こどもの頃からごく自然な価値観としてインクルージョンを根付かせていくには世代を越えた積み重ねと地域ぐるみの意識の共有が必要で、実現には時間がかかると思われます。

 「発達に課題のあるこども」の保育現場への受け入れ課題の一つは、ご両親が我が子の発達課題の認識と受容過程にあるので、なかなか発達支援につながらず、こども自身が生きづらさを抱えて集団生活を送ることです。又発達支援のため児童発達支援事業所を利用するようになっても情報共有が難しいことも課題です。一方、こども園・保育園では加配の職員は配置していても、専門的な対応がなかなか難しいのが現状です。

 愛の園福祉会の既設のこども園に児童発達支援事業所エールを立ち上げたのも、緑が丘こひつじ保育園と同じ敷地内にこども発達支援センターを立ち上げるのも、こども園・保育園、児童発達支援事業所のいずれかだけではインクルーシブな環境の実現が難しいと考えたからです。生きづらさを感じているこども本人にとっても、クラスで同じ時間を過ごすこどもたちにとってもインクルーシブな保育環境の実現はとても大切なことなのです。

 わたしたちは保育教諭、保育士と療育を担当するスタッフ双方が、日常的な関わりを通して意見を交換をし合い、こどもの状況の理解を深めながら、すべてのこどもがこども園・保育園での生活に馴染めることを心がけています。その一つとして、エールが開設された2023年4月から、各事業所をオンラインで結び、「保育と療育の連携」をテーマに月1回のペースで保育療育連携会議を行い、各事業所からの事例発表や運営状況を共有したり、各こども園内ではエールと連携のための相談や会議が随時開かれています。

 保育と療育の連携協力は、実践例が少なく、わたしたちの取り組みも試行錯誤の中にあります。経験と知恵を出し合いながらこの課題に取り組んでまいります。

児童発達支援センターのコンセプト

1

幅広い⾼度な専⾨性に基づく発達⽀援・
家族⽀援機能

こどもの発達全般や障がい特性・⾏動特性等をアセスメントし、適切なアプローチを⾏うとともに、成⼈期を⾒据え乳幼児期から段階的に必要なアプローチを⾏う視点、障がいの有無に関わらずこどもの育ちに⼤切な遊びを通じて⽀援する視点、⼦育て⽀援の観点を持ちながら、幅広く様々なケースを受け⼊れることに努めます。

2

地域の障害児通所⽀援事業所に対する
スーパーバイズ・コンサルテーション機能
(⽀援内容等の助⾔・援助機能)

地域の障害児通所⽀援事業所に対して、地域の状況、地域で望まれている⽀援内容の把握、事業所との相互理解・信頼関係の構築を進め、対応が困難なこども・家族をはじめとする個別ケースへの⽀援を含めた事業所全体への⽀援を⾏ってまいります。
⼜事業所向けの研修・事例検討会等の開催なども検討してまいります。

地域の障害児通所⽀援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能(⽀援内容等の助⾔・援助機能)
3

地域のインクルージョン推進の中核としての機能

保育所等訪問⽀援事業りんごの木の実施により、地域の保育所等における障がいのあるこどもの育ちの⽀援に協⼒するとともに、障がいのあるこどもに対する保育所等の⽀援⼒の向上を図る等、保育所等への併⾏利⽤や移⾏を推進することや、地域向け講演会、要配慮児童担当の保育⼠向け研修等を通してインクルージョンの重要性・取組みの発信・周知を推めてまいります。

地域のインクルージョン推進の中核としての機能
4

地域の障がい児の発達⽀援の⼊⼝としての
相談機能

こども発達⽀援相談事業所ぶどうの⽊をとおして、発達⽀援の⼊⼝としての相談に適切に対応し、必要に応じ適切な⽀援につなげてまいります。 また、乳幼児健診や親⼦教室等の各種施策及びその実施機関等とも適切に連携しながら、家族がこどもの発達に不安を感じる等の「気付き」の段階にあるこどもや家族に対し、丁寧に発達⽀援の⼊⼝としての相談に対応してまいります。

地域の障害児の発達⽀援の⼊⼝としての相談機能