昨年度社会福祉法人愛の園福祉会創立50周年を記念して記念誌「大いなる冒険」を編集発行しました。
「過去を遠くまで振り返ることができれば、未来もそれだけ遠くまで見渡せるだろう。」と言った先人がいます。
振り返ることで何を見出すのか、いかにそれを未来に向けて適用していくかが大切です。
次の50年に向けた一歩を踏み出すにあたり、私たちは「何のためにこの仕事を手がけるのか」、「誰のためにこの仕事があるのか」という点で理解を合わせるために、法人の基本理念として「もっとも小さな者のひとりに仕える」を再確認しました。
最近よく耳にする言葉の一つに「インクルーシブ保育」があります。
「子どもの年齢や国籍、障害の有無に関わらず、すべて子どもが個々に必要な支援を受けながら同じ場で保育を受けられる」ものと定義されています。しかしインクルーシブ保育を実践するには、保育者に高い専門スキルや幅広い知識が必要で、保育士、保育教諭の資格だけでは対応しきれない面があります。さらには障害特性が一人ひとり異なることでより綿密な指導計画の必要性が高くなり、加配の保育士、保育教諭をつけるだけでは済まない困難さが保育現場にはあります。「障害者差別解消法」の改正(2021年5月)や「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(2020年9月18日施行)などにより、保育所やこども園なども発達に課題のある子や医療的ケア児の入所を断ることができないことになりました。
愛の園福祉会は「すべての子どもの未知なる開花をめざす」という保育理念をこれからも掲げ、幼児教育・保育に取り組んでいくために、集団に馴染めず、生きづらさを感じている子どもにも光が当たっていることに思いを致し、各こども園に児童発達支援事業所を開設することを考えました。保育と療育の連携をはかり、保育士の立場から児童発達支援に関する知識・技術、専門性を高める道筋をつける。又、療育の立場からも保育と連携することで、その効果を高めることで、結果として、保育園、こども園での保育士の発達支援に対する知識と経験が増し、見方が変わり、「障害の有無に関わらず、すべて子どもが個々に必要な支援を受けながら同じ場で保育を受けられる」道が作られていくと考えます。各こども園に児童発達支援事業所(定員10人)の開設を計画し、障害児福祉の分野に着手するのはこうした理由からです。
「もっとも小さな者のひとりに仕える」という基本理念は、聖書に出てくる言葉(マタイによる福音書25章40節)を参考にしています。一人ひとりが他の何者をもっても代えることのできない人格であり、一人ひとりの中に、「神の像」が宿されている。「ひとり」の背景に、創造主の意思が働いていて、それぞれの人生には、人間の尺度では計りきれない目的と使命がある。だから一人ひとりが尊い存在であり、そこに人間の命と尊厳の根源があると理解するのです。「仕える」というのは単なる仕事ではなく、又「やってあげる」というものではありません。”serve”はその人のために働く、奉仕するという性格があるのです。一人ひとりの中に、神様の似姿を見つつ、大切な存在として関わる。そのために私たちの知識・技術、専門性が用いられるのです。だからこそ今できる最高のものが必要なのです。
これからも、こうした思いで一致し、力を合わせる法人でありたいと考えています。
社会福祉法人愛の園福祉会
理事長堀口 路加
2024年11月18日
2024年11月11日
2024年11月11日
2024年11月05日